福島第1原子力発電所事故の本来の解説

 いくつかのエントリーを原子力事故について書いてきたが、当事者ではないのでぞの全体については論じていない。だがテレビに出てくるインチキ解説の相当頭にきたので、本来の解説に挑戦してみようと思う。

 まず今回の災害はまず地震によるものだ。福島第1発電所の運転中の号機1から3号は地震により安全に停止した。だが、直後に起こった津波が襲った。詳細は発表されていないが、電力を送る送電線が機能せず、ディーゼルエンジンも機能せず電力を喪失した。さらに津波により低い位置にあるポンプなども多くが損傷した。

 この状態は一応安定しているが、運転していた核燃料は高い温度であるし、内部にある核分裂による生成物は原子的に不安定で次々に崩壊して原子量の小さな原子に変わっていく。その時に放射線と熱を出す。従って水の中に浸かっていてもその温度は次第に上がり、やがて沸騰する。
 通常であればその水を循環させて熱交換により冷やすシステムを稼働させる。しかし電源喪失では不可能である。

 圧力容器はかなり気圧が上がっても大丈夫だが(60気圧はOK)やはり限度がある。有る値を超えると安全弁が働き内部の気体を抜く。抜いたものは原子炉格納容器に溜まる。それがどこから漏れるのか分からないが、次に原子炉建屋に溜まる。
 この時発生する気体は基本的には水蒸気のはずだ。当然放射性物質が含まれた汚染水蒸気である。

 水が蒸発しすぎると燃料棒が気体中に露出し、熱が効率的に奪われないから燃料棒の温度が上がる。この時水蒸気と燃料棒被覆のジルコニウムと反応し水素を発生する。この状況以降に発生した気体が建屋に溜まり水素爆発につながる。
 さらに、高温になった燃料棒は溶解し核生成物が空中あるいは水中に多く出るようになる。セシウムなどの天然にない物質を検出することが多くなるのはこれ以降である。

 水がどんどん蒸発し燃料棒の露出が多くなると燃料棒はさらに高温になり全体が溶けて、重力に従って落ちていくことになる。その温度は十分に高いから、床を溶かしてさらに落ちていくことになる。その熱をうまく吸収できるものにあうまでは落ち続けることになる。それがどの面になるか、誰も分からない。


 原子力発電所内には使用済燃料も保管されている。こちらの燃料棒にも核生成物が大量に詰まっている。発電に使った直後は熱を発生する物質も多く強い冷却が必要になる。だが半減期の長い物質も多いから長期間にわたって冷却保管が必要になる。
 こちらは1000tから2000tもある大きなプールに間隔を開けて、底の方に保管してある。

 電源が喪失すれば冷却が止まりプールの水温が上がり始める。水が沸騰すれば蒸発により水が無くなり燃料棒が露出し圧力容器内と同じ事になる。だが大きく違うのはこのプールは建屋の中にあるだけであることだ。むき出しと言っても良いだろう。

 
 今回の事故で最初に燃料棒が露出したのは圧力容器内だった。水を入れようとしても容器内の圧力が高いので入らない。弁を開けて圧力を下げないといけない。電源がないから手動で行う?放射線レベルが高くなればその作業は不可能になり、水を注入するすべを失う。
 3/18時点ではこのあたりをどうしているのか情報がない。

 使用済燃料プールも大量の水があってもそれを蒸発させて燃料棒が露出した。水素爆発があったから確かなことだ。こちらの水の注入は、むき出しであるが故に簡単である。
 だが一つ問題がある。むき出しになった燃料棒は高温になっているから、ここに水をかければ水蒸気を大量に発生させかなりの擾乱が起こる。その際に燃料が壊れれば大量の核物質が放出される危険性がある。
 このあたりを東電がシミュレーションしたと報じられたが、現場の作業員避難を行っただけだった。それで済むのか、分からない。本当に良いのは上から水をかけるのではなく、プールに注水をすることだろう。しかしそれが出来ない場合には、水を上からかけるしかないだろう。なお、建屋が破壊されている状況では雨が降れば同じ状況になることを付け加えておこう。

 今電源を外部から引いている。これは6000ボルトの配電線であり、普通に町中を電柱で引くものだ。容量は2000kwから3000kwだ。たぶんこの容量は1,2号機対象程度だ。だから発電所すべての必要性は満たせない。
 しかし、事故当初に電源があれば、発電所構内の放射能汚染もなく有効に使えたことだと想像する。遅い、あまりにも遅すぎる。

 発電所からは気体もしくは微細な粒子として放射性物質が出ている。これは大気中を漂っていて、そこから出る放射線を測定しているわけだ。
 単位はシーベルト/アワー、その放射線を一時間浴びたらその数値の放射線を浴びる計算とする。レントゲン写真やCT撮影と比較されるが、1時間だけ浴びるとする仮定は成り立たない。だが365日24時間浴び続ける仮定も非現実的だ。
 原子力から出た気体は拡散すると言われる。4方に均等に拡散されれば急速に薄くなるわけだが、強い風に流されれば拡散される前に遠方に飛ばされる。こう言った事をどこまで予測できるのだろうか?半径20km、30kmとの関係を評価することは私には出来ない。
 もう一つ降雨の影響だ。気体の中の微粒子は降雨の際地上に落ちてくる。体に当たることもあるだろうし、地面にしみこむともあるだろう。

 空気中の放射性物質はやがて飛んでいく。だから継続時間はそれほど多くない。だが、地面に落ちたものは飛んでいかない。そうしたものを積算する放射線被曝がどの程度になるのかよく分からない。
 だが今までの値だけを評価すればそれほど多いものではないと思う。これは思うだけで具体的な根拠があるわけではない。

 だが私が東日本だけではなく日本をつぶす大事件だと思うのは、放射性物質が放出され続けていて、いつ終わるのか分からないことだ。台風なら地震なら時間がたてば過ぎていく。だがこの事故は核燃料が放出され尽くすまで続くのだ。だからなんとしても冷やさなければならない。終息しなければならない。これが結論だ。

 今冷却に使っているのは海水だ。通常使うのは真水のきれいな水だ。機械に海水をかけたら錆びてくるので使い物にならなくなる。だから今電源が復旧しても使える機械はどれほどあるのか分からない。
 発電所は1から4号機まで使えなくなることはもう決まっている。

 放水も電源確保も高い放射線により作業が難航している。まずこれを大量の海水を使って水膜を作り軽減できないか?蒸気が来るなら送風機で飛ばせないか?そうやって作業場所を確保することが可能ではないか?
 作業場所が確保できれば連続的に放水をしてまず使用済燃料プールの放射線発生を防ぐ。圧力容器に閉じ込められた燃料棒からの放出は一時的には抑えることができるから、その対処の準備が出来る。一基づつ注入系を大量に準備して一気に水を圧力容器に入れ水浸しにする。

 こんな事が出来ないだろうか?勇気と決断力と計画性が必要だ。終わらせないと日本がつぶれる。そういうことなのだ。
 

追記:技術的な点で確認できていないものが含まれています。ご指摘があればお願いします。

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