従軍慰安婦問題 アメリカ下院採決へ

米下院外交委員会で第二次大戦中のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に公式謝罪を求めた決議案を可決したらしい。7月中には下院でも採決されるのではないかと観測されている。
従軍慰安婦:対日謝罪要求決議案を可決 米下院外交委毎日新聞 2007年6月27日 10時35分 (最終更新時間 6月27日 11時00分)

 安部首相は
「米議会の決議だからコメントするつもりはない。すでに私も米国を訪問した際、私の考えを説明をしている」と述べた。そのうえで「米議会では相当たくさんの決議が決議されている。そういう中の一つなんだろう」と不快感をにじませた。
首相は「米議会でたくさん決議されていてもその一つひとつは割と重要ではないか」との記者団の問いに対し、「それはあなたの意見ですね」と反論。質問を続けようとする記者団を振り切り、質疑を打ち切った。
「たくさんある中のひとつだ」 従軍慰安婦決議で首相 2007年06月27日20時08分朝日
 と言っているようだ。ポツダム宣言を無視したときと同じようにならねば良いと思う。
 塩崎官房長官も同様だ。
「慰安婦問題についての政府の立場は4月の首相訪米を含めて明らかにしており、それ以上、付け加えることはない。他の国の議会が決めることなので、あえてコメントするべきことではないのではないか」
 また
公明党の北側一雄幹事長は27日の会見で、与野党の有志議員らが米紙に「決議案は現実の意図的な歪曲(わいきょく)だ」と反論した意見広告を出したことについて、「これまでの(日本政府の)姿勢に対して誤解を生むような日本側からの発言は慎むべきだと思っている」と批判した。
塩崎官房長官はコメントせず 従軍慰安婦決議 2007年06月27日12時25分 朝日
 与党の公明党からも批判される自民党だ。この記事では
ところが今月14日に一部国会議員や評論家らが米紙に「旧日本軍が強制的に慰安婦にさせたとする歴史的文書は見つかっていない」などと、強制性を否定する広告を発表。大戦後、米占領軍が日本に慰安所設置を要求したとの記述が「チェイニー副大統領の逆鱗(げきりん)に触れた」との情報が飛び交い、採決に向けた流れを後押しした。
 と報道されている。心配した占領軍の話がやはり出ている。

 決議案の要旨だ。
●決議案の要旨

1、日本政府は1930年代から第二次世界大戦までの間、帝国軍隊が若い女性に「慰安婦」として知られる性的奴隷を強要したことについて、明瞭(めいりょう)かつ明確な方法で公式に認め謝罪し、歴史的な責任を受け入れるべきだ。

1、公式な謝罪は首相の公の声明としてなされるべきだ。

1、「慰安婦」に関する国際社会の勧告に従い、この恐るべき犯罪について、現在と未来の世代に教育を行うべきだ。

1、「慰安婦」制度は、その残酷さと規模において前例がなく、20世紀における最大の人身売買事件の一つだ。

1、日本で使われている幾つかの新しい教科書は、「慰安婦」の悲劇や第二次大戦中の戦争犯罪を軽視しようとしている。

1、日本の官民の関係者は最近、「慰安婦」に関して93年に河野洋平官房長官が謝罪を表明した談話を弱め、もしくは撤回させたいとの要望を表明した。
クローズアップ2007:従軍慰安婦問題・米下院委決議 「強制性なし」認めず 毎日新聞 2007年6月27日 東京朝刊
 政府の見解としては河野談話を継承していると何度も言っている。首相の談話でないことも確かだが、首相が書いた手紙もあるそうだ。アメリカのご要望に答えて、今まで行ってきた事を整理すればいいことではないのだろうか。何度も謝るといった話でもないだろう。

 問題は日本の官民の動きだ。さらに言えば民はいいにしても官の動きだ。議員や国立大学の教授などが、いくら言論の自由があるといっても、主張してもいいものだろうか。まして、首相が政府見解と微妙に違いのある見解を表明する事などもってのほかだろう。
 例えば自民党の議員が総裁の見解と違う事を言ってもそれが根幹に触れなければ良いのかもしれない。しかし、憲法護持の自民党議員がいればそれを許容するだろうか。
 慰安婦問題はそれに近い根幹の問題ではないかと言う指摘ではないだろうか。

 日本側の対応がおかしい事は今までも指摘している。謝った事を翻すのなら性根を据えてやれ、出来なければ馬鹿な遠吠えをするな。


 しかし、アメリカの決議も受け入れる気にはならない。何故韓国(例えば)と日本の話をアメリカが決議するのか。日本がアメリカに裁定を依頼したのか?
決議案は人権派議員の「ガス抜き」の意味もあり、「一度採択されれば二度目はない」(米議会筋)と、早めの採択が日本にも得策との見方もある。だが、日本国内保守派の不満がたまり、緊張が高まる可能性もある。
 人権派議員の目的が何か良く分からないが、それが単に善意であるとは信じられるものではない。それとも日本のナショナリズムを高揚しようと言うのだろうか。反米ナショナリズムがアメリカの利益になるのだろうか?

 アメリカは世界の警察と言われている。また世界の人権状況を頼まれもしないのに毎年調査公表している。アメリカは世界の司法もやるつもりなのか。
 その中では当然アメリカの人権侵害は問題としない。そんなアメリカに他国の人権を言及する資格はない。
 こんな議決をしている暇があるのならテロ容疑者の不法な拘束を即刻止めるべきだ。それに取り組まない国に文句を言われる筋合いはない。
大きな節目となったのが、「軍や官憲による強制連行を示す記述は(資料に)見当たらなかった」と「狭義の強制性」を否定した3月の安倍首相発言。米メディアが一斉に反発し、北朝鮮の拉致問題に熱心な首相の対応を「二枚舌」と皮肉る論調まで出た。
 アメリカが「二枚舌」と言うなら「ダブルスタンダード」とお返ししよう。


 ちなみに「残酷さと規模において前例がなく、20世紀における最大の」と来ればそれは「原爆」だろう。
 日本が原爆投下を問題とするならこんな決議だろう。

1、アメリカ政府は第二次世界大戦にて、兵器開発を目的とした原爆による非戦闘員の殺戮について、明瞭(めいりょう)かつ明確な方法で公式に認め謝罪し、歴史的な責任を受け入れるべきだ。

1、公式な謝罪は大統領の公の声明としてなされるべきだ。

1、「原爆」に関する国際社会の同意に従い、この恐るべき犯罪について、現在と未来の世代に教育を行うべきだ。

1、「原爆」投下は、その残酷さと規模において前例がなく、20世紀における最大の戦争犯罪だ。

1、アメリカで使われている幾つかの教科書は、「原爆」の悲劇、すなわち第二次大戦中の戦争犯罪を軽視しようとしている。

1、アメリカの官民の関係者は、「原爆」に関して未だに戦争早期終結との名目をあげ、その犯罪性を否定している。
(これはパロディーですから中身は責任持ちません)
 こんな泥試合をするべきだとは思わないが、アメリカの身勝手を誰かが思い知らせるべきだとは思う。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 政治家が原爆謝罪を米国に求めるべきか

    Excerpt:  従軍慰安婦問題 アメリカ下院採決へのなかでアメリカ大統領が公式に謝罪表明する事を求める議決をすればどうかと書いた。しかし、それを本気で要求していたわけではない。  私はこう書いた。「こんな泥試合を.. Weblog: 飯大蔵の言いたい事 racked: 2007-07-03 20:08
  • 慰安婦決議と対日礼賛決議。矛盾する2つの決議を連続で可決するアメリカの意図は?

    Excerpt:   従軍慰安婦をめぐり日本政府に謝罪を求める決議案が、米下院本会議で可決された(たった10人で可決されたって話も…)。 従軍慰安婦問題に関しての私の考えは、以前のエントリー 『軍慰安婦を非難するアメ.. Weblog: にほん民族解放戦線^o^ racked: 2007-08-02 03:48
  • 対日非難決議案、米下院で435人中10人程度で採択

    Excerpt: 慰安婦決議案採択 米下院(イザ!)  【ワシントン=有元隆志】米下院は30日の本会議で、慰安婦問題に関する対日非難決議案を採択した。決議に法的拘束力はないが、日本政府に公式謝罪を求めている。決議案の共.. Weblog: ぱっとんな日々 racked: 2007-08-02 20:55