国会答弁で泣いた文部省学校教育局長 日高第四郎 

 かなり前の記事だが、毎日新聞に載っていた。
 1947年3月18日、帝国議会衆議院「教育基本法案委員会」は熱気に包まれた。委員会設置目的である教育基本法案は既に通過し、義務教育6・3制など新制度を定める学校教育法案が回ってきたのだ。
当時の文部省学校教育局長が答弁に立った。  「戦争を放棄した日本は文化国家建設のため教育の徹底的な刷新改革が必要で、次代を担う青少年への期待はまことに大きいが、現状では子供たちに教科書も与えられない……」  このようなことを語りながら彼はあふれる涙を落とし始め、ついに言葉を失い、声を上げて泣いた。
委員らも涙にくれ、5分の間声を発する者がなかったという。
毎日新聞の平成18年11月15日付朝刊2面「発信箱」
自分なりの判断のご紹介から転載
  これの全文を帝国議会議事録からやっと探し出しました。(文章も違うし、日付も違うし、毎日新聞さん正確にお願いしますよ)
衆 - 教育基本法案委… - 5 号(回) 昭和22年03月19日
○日高政府委員 化學教育等に對して相當な施設が必要であることは、私どもも全くその通りに存じておりますので、試驗管もフラスコも、あるいは電氣もガスもない所でもつて、いい化學教育ができるとは考えられません。
これらの點において、非常に現在の日本の教育内容というものが貧弱であるということは、殘念ながら認めなければならない次第でありますが、そういう化學的施設というものの一歩前の、たとえば机であるとか、黒板であるとかチョークというようなものまでも、殘念なことでありますけれども、不自由をしておるような状態でありまして、紙も、極端に申しますれば教科書も十分配給できるかどうかわからないような状態にありますので私どもといたしましては、配給その他の機構につきましても、できるだけ教育に向けるものについては、政府もあるいは民間のものも、一般にそれに尊重の念をもつて優先的に配給してもらうように努力いたしたいと思つております。
 敗戰の結果ではありますけれども、今日の日本を復興させるものは、現在戰爭にも責任のある私どもの力というよりは、何も知らなかつたこれから來る若い人たちの力によつて、日本は再びこの情ない状態を――失禮いたしました――盛り返さなければならないと思つております。これについては、私どもとしては教育に唯一の望みをかけておりますので、萬難を排して、私どものあとから來る者のために、喜んで踏み臺になつていきたいと思つております。
 その邊實に情ない状態であることは、私どもも十分承知いたしておりますが、少しでもあとから來る者が勢よく伸び上つて、そうして日本を昔の、あるいはそれ以上のいい國家に仕立て上げるようにいたしたいと思つておりますが、どうぞ今後とも、私どももむろんいたしますけれども、議員の皆さんも、御鞭撻いただきたいと思います。
 ー失礼いたしましたーの部分が泣いていた時です。中日新聞の記事では
ここまで話すと、後が続かない。日高は目に涙を浮かべ、おえつを漏らしていた。委員会室は水を打ったように静まり、日高の回復を待つ。皆、もらい泣きしていた。
 と表現されている。


 君が代ピアノ伴奏事件で教員の政治的信条の表現を抑制する判決が最近出ましたが、上記と同じ委員会で、教員と政治に関する答弁を発見しました。

○日高政府委員 最後の問題から先にお答えいたしたいと思います。教育基本法の第八條にございますように、教育において公民たるにふさわしい政治的教養が尊重されなければならない。これは被教育者においても、また教育する者においても必要であると感じております。
 それから法律に定めてあります「特定の政黨を支持し、又は反對するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と申しますのは、大體において學校という組織體がそういう特定の政黨を支持したり、反對するための政治教育をしたりすることがいけないというのでありまして、教員あるいは學生が、個人として自分のもつている政治的自由を行使することは差支えないと感じております。
 お説のように、政治とか教育とか、一應は教育の内容が政治から獨立していて欲しいし、また教育の内容に政治的鬪爭というものが持ちこまれることは願わしくないことでありますけれども、昔のように政治と教育とがあまりに截然と區別されてしまいますと、兩方が遊離してしまつて、政治には教育的の考慮が拂われないし、教育者は政治について無關心になるようでは、やはりいい教育も、いい政治もできないと思いますので、お説のように昨年あたりも、政治における教育の優先ということが議會で滿場一致で決議されて、また政府もそれに非常な喜びをもつて答えていながら、現實においては教育に對する豫算というものが、はなはだ私どもとしては理解しにくいほどの、わずかなものきり組まれていない。
 そうして私どもとしては非常に大切であると思う學制改革の出發點においてもほとんど經濟的の理由のみでそれが阻まれそうな情勢にあつたということは、率直に申しますれば、私どもが政治において教育がほんとうに尊重されているかどうかを疑いたいような氣持がいたすくらいであります。
 しかしむろん今日の特別非常の例外的な状態でありますから、國民が飢ゑかかつているときに立派な教育をしようという事柄が非常にむずかしいのであつて、現實にそれが兩立できないので理論的に必ずしも兩立できないわけではないのでありましようけれども、たとえ苦しくても、今日の日本を再び立派な國家に育て上げるためには、何といつても教育が必要なのでありまして、この點において私どもとしては教育に對して政治方面の方で、一層の助力と鞭撻とをいただきたいというふうに考えている次第であります。從つて教育者が一定の政治的見解をもつて、自分の本分と矛盾しない限りにおいて政治的自由を行使することは、私どもとしては決して阻む心持を持つておりません。
 まとめは「教育者が一定の政治的見解をもつて、自分の本分と矛盾しない限りにおいて政治的自由を行使することは、私どもとしては決して阻む心持を持つておりません。」です。最高裁の判決は法律の趣旨説明に反しています。
 
 この文章を読んでいると、過去の日本人の素晴らしさを感じます。今の日本人はどうなったのだろうか。


 文部省学校教育局長 日高第四郎 
 「萬難を排して、私どものあとから來る者のために、喜んで踏み臺になつていきたいと思つております。」と語る熱き心の持ち主を記憶しておきたいと思う。

 

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