グローバル化した防衛計画の大綱

 防衛計画の大綱が更新されたそうだ。これは法律でもないそうで国会の承認も要らない。自衛隊法などの下にあるはずなのだが、まさかはみ出てはいないだろうか?

 報道では「動的防衛力」と言い、北海道に張り付いている陸自主体の自衛隊を南方に展開することが言われている。しかし次に書くことと比べればどうって事ではない。

 古い防衛計画の大綱は平成16年12月10日に閣議決定されたそうだ。そこには「グローバル」という言葉は一カ所しかない。
大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織等の活動を含む新たな脅威や平和と安全に影響を与える多様な事態(以下「新たな脅威や多様な事態」という。)への対応は、国家間の相互依存関係の一層の進展やグローバル化を背景にして、今日の国際社会にとって差し迫った課題となっている。
 新防衛計画の大綱はこの17日に閣議決定された。その中には「グローバル」という言葉がてんこ盛りだ。順に引用していこう。
我が国の安全保障の第二の目標は、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善により脅威の発生を予防することであり、もって自由で開かれた国際秩序を維持強化して我が国の安全と繁栄を確保することである。

これらの目標を達成するため、我が国の外交力、防衛力等をより積極的に用い、国際の平和と安全の維持に係る国際連合の活動を支持し、諸外国との良好な協調関係を確立するなどの外交努力を推進することを含め、我が国自身の努力、同盟国との協力、アジア太平洋地域における協力、グローバルな協力等多層的な安全保障協力を統合的に推進する。

 グローバルな安全保障環境のすう勢は、相互依存関係の一層の進展により、主要国間の大規模戦争の蓋然性は低下する一方、一国で生じた混乱や安全保障上の問題の影響が直ちに世界に波及するリスクが高まっている。また、民族・宗教対立等による地域紛争に加え、領土や主権、経済権益等をめぐり、武力紛争には至らないような対立や紛争、言わばグレーゾーンの紛争は増加する傾向にある。
 このような中、中国・インド・ロシア等の国力の増大ともあいまって、米国の影響力が相対的に変化しつつあり、グローバルなパワーバランスに変化が生じているが、米国は引き続き世界の平和と安定に最も大きな役割を果たしている。
 我が国を含む国際社会にとって、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、国際テロ組織、海賊行為等への対応は引き続き差し迫った課題である。これらに加え、地域紛争や、統治機構が弱体化し、又は破綻した国家の存在もグローバルな安全保障環境に影響を与え得る課題であり、さらに、海洋、宇宙、サイバー空間の安定的利用に対するリスクが新たな課題となってきている。また、長期的には、気候変動の問題が安全保障環境にもたらす影響にも留意する必要がある。
 こうしたグローバルな安全保障課題は、一国で対応することは極めて困難であり、利益を共有する国々が平素から協力することが重要となっている。

一方、グローバルなパワーバランスの変化はこの地域において顕著に表れている。我が国周辺地域には、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が集中しており、多数の国が軍事力を近代化し、軍事的な活動を活発化させている。また、領土や海洋をめぐる問題や、朝鮮半島や台湾海峡等をめぐる問題が存在するなど不透明・不確実な要素が残されている。

 このような中、米国は、日本、韓国、オーストラリア等の同盟国及びパートナー国との協力を一層重視して、二国間・多国間の枠組みを活用した安全保障関係の強化を図るなど、この地域への関与を強めている。このような取組は、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たすとともに、米国がグローバルな安全保障課題に取り組むための基盤ともなっている。

また、地域の安全保障課題とともに、グローバルな安全保障課題に対し、同盟国、友好国その他の関係各国(以下「同盟国等」という。)と協力して積極的に取り組むことが重要になっている。

オ 国際平和協力活動を始めとするグローバルな安全保障環境の改善のための取組においては、関係機関の連携はもとより、非政府組織等とも連携・協力を図ることにより効率的かつ効果的に対応する。

今後の防衛力については、防衛力の存在自体による抑止効果を重視した、従来の「基盤的防衛力構想」によることなく、各種事態に対し、より実効的な抑止と対処を可能とし、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のための活動を能動的に行い得る動的なものとしていくことが必要である。

さらに、日米同盟は、多国間の安全保障協力やグローバルな安全保障課題への対応を我が国が効果的に進める上でも重要である。

加えて、共同訓練、施設の共同使用等の平素からの各種協力の強化を図るとともに、国際平和協力活動等を通じた協力や、宇宙、サイバー空間における対応、海上交通の安全確保等の国際公共財の維持強化、さらには気候変動といった分野を含め、地域的及びグローバルな協力を推進する。

さらに、地域における不測の事態に対する米軍の抑止及び対処力の強化を目指し、日米協力の充実を図るための措置を検討する。加えて、共同訓練、施設の共同使用等の平素からの各種協力の強化を図るとともに、国際平和協力活動等を通じた協力や、宇宙、サイバー空間における対応、海上交通の安全確保等の国際公共財の維持強化、さらには気候変動といった分野を含め、地域的及びグローバルな協力を推進する。

国際社会の一員としての協力
 グローバルな安全保障環境を改善し、我が国の安全と繁栄の確保に資するよう、紛争、テロ等の根本原因の解決等のために政府開発援助(ODA)を戦略的・効果的に活用するなど外交活動を積極的に推進する。

グローバルな安全保障課題への取組に関し、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)や欧州諸国とも協力関係の強化を図るとともに、海洋、宇宙、サイバー空間の安定的利用といった国際公共財の維持・強化、大量破壊兵器やミサイル等の運搬手段に関する軍縮及び拡散防止のための国際的な取組に積極的な役割を果たす。このほか、大規模災害やパンデミックに際し、人道支援・災害救援等に積極的に取り組む。

(3)グローバルな安全保障環境の改善
 人道復興支援を始めとする平和構築や停戦監視を含む国際平和協力活動に引き続き積極的に取り組む。また、国際連合等が行う軍備管理・軍縮、不拡散等の分野における諸活動や能力構築支援に積極的に関与するとともに、同盟国等と協力して、国際テロ対策、海上交通の安全確保や海洋秩序の維持のための取組等を積極的に推進する。
 テレビの報道などでは自衛隊の範囲は国土と領海であるけれどEEZも含めた周辺に拡大するような話だったと記憶するが、どうも自衛隊はグローバルに雄飛するようだ。
 この大綱を認めた菅内閣はシビリアンコントロールの元にグローバルに雄飛するのだろうか?マニフェストには日米地位協定の見直しとまで書いていたわけだが、これからどのようにしていくのだろうか?

 大綱で了解を得られたと考えるだろう防衛省がグローバルに飛び出していくことを、シビリアンコントロールで引き留めるようにさせるのは国民の声しかないだろう。

この記事へのコメント

カタカナサヨク
2010年12月28日 12:39
日米安保の軍事同盟化をここまで深化させ、米国追従のドグマを公言して恥としない官僚体質が、丸出しですの防衛計画ですね。まじめに、財務省も含めて、いまいちど世界大戦を起こして、財政再建をチャラにしようとでも考えているのでしょうか。脳内筋肉防衛省は、四の五の言わずに、EUにならって、粛軍・縮小すべきですし、田中康夫氏がおっしゃっているように、武装を伴わない、自然災害支援の世界版、サンダーバードに改変することが、憲法にかなっているのではないでしょうか。
2010年12月29日 00:28
カタカナサヨク さん
サンダーバートはいいですね。感謝されれば自衛隊や日本人や日本を守ってくれるでしょうね。これが安全保障でしょう。

この記事へのトラックバック

  • 太陽光発電見積り

    Excerpt: エコポイント申請書が匿名、無料でできる。今なら国や市町郡が日本の二酸化炭素を減らす為に補助金を出しているので今がチャンスです。 Weblog: 太陽光発電価格 racked: 2010-12-18 18:16
  • 言葉でごまかす「安保」

    Excerpt:  民主党になっていはじめての「防衛計画の大綱」が発表された。一読してみてすっきり理解できるという人はまずいないだろう。政府文書とはそういったものだが、国民の安全 Weblog: 反戦塾 racked: 2010-12-19 06:45
  • 大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

    Excerpt: 『オバマ危険な正体』(ウェブスター・タープレイ著)にはブレジンスキーの著書『セカンド・チャンス』の話がでてくる。 同書、185ページから引用しよう。 ブレジンスキーは、オバマの外交政策を担当しているだ.. Weblog: マスコミに載らない海外記事 racked: 2010-12-19 20:06