尖閣列島論議について

 国会でも論議が始まったようでNHKが中継していた。ごくわずかしか聞いていないが、中国の大使が呼びつけられたのは少数回でほとんどは会談交渉後のことだったようで、マスコミの偏向報道を指摘してくれるのなら有益だと思う。
 しかし、政治判断について、その決定経緯についていつ誰と誰が何を話してとか何とかを今論じることに何かの益があるのだろうか。首相がビデオを見ていなかったのは確かに大ニュースかも知れないが、中国とはまだ交渉中であり、この段階で手の内をさらすようなことをするべきなのだろうか。
 追及する野党も野党だが、答える内閣閣僚もいかがなものか。こんな論議は10年から20年後に歴史の研究でやればいいだろう。

 それよりももっと基本的なところ、法に基づいて対応するのか否か、どの法律をどのように適用するのか、海上保安庁に指示もしなければならないし、検察などの対応にも政府としての方針があろう。
 少なくとも表向きの外交方針は国会で議論し国民に説明が必要だ。そしてそれ以上の外交的判断も持ち合わせていなければならないことは当然のことだが。
 日本の政治は大丈夫かと心底不安になる。こうした中共産党だけが本質を突いていたと思う。

 さて、尖閣列島を巡る法的位置づけについて整理しておこう。基本的なとところをらく書き帳の「領海侵犯?」を参考にしている。

 海の権利の形は3通りある。
○ 領海(territorial sea)
 領海基線から、特定海域を除き12海里(約22km)より内側の海。
 日本の主権が及ぶ。
 他の国に対しては、無害通航権が認められている。

○ 排他的経済水域(EEZ, exclusive economic zone)
 領海の外側で、領海基線から200海里(約370km)より内側の海。
 資源・経済について主権的権利が認められている。
 他の国に対しては航行、海底電線等の敷設の自由が認められている。

○ 大陸棚(continental shelf)
 領海基線から、200海里(約370km)より内側の海底。さらに地形、地質的条件を満足すれば最大350海里(約650km)まで延長できる。
 海底及びその下の天然資源の主権的権利が認められている。

 今回の事件は領海内だから日本の主権が及ぶ海域。
 ただし無害通行権がある。海洋法に関する「国際連合条約 ー第十七条 無害通航権」に決まっているが、継続的かつ迅速に通過しなければならない。停船、投錨は認められない。こちら参照

 領海内で取り締まれる法律はまず、領海等における外国船舶の航行に関する法律がある。北朝鮮不審船に関してつくられたそうで、「秩序や安全に抵触するような行為がある場合には、退去命令や立ち入り検査等の主権国家としての然るべき措置がとられることになる」である。
 今回のケースは漁船でありこれには該当しない。

 もう一つが漁業に関するものだ。
 漁業法がある。これは限りなく国内の漁業に関する法律だ。
 外国人漁業の規制に関する法律 これは外国の漁船が国内の港に魚を水揚げすることを念頭に置いた法律だ。当然ながら外国船の領海内での漁業は禁止している。
 従って領海内での方による対処であれば、この二つの法律を適用するべきである。逮捕するとか検査をするとかの判断はこれらの法律を元にしなければならない。
 単に通行しているだけなら、取り締まれないし、立ち入り検査もする理由はない。ただ漁業をしている疑いを持てば海上保安庁は立ち入り検査を要求できる。その公務執行を妨害すれば当然現行犯で逮捕できるわけだ。ただ犯罪を疑うから立ち入り検査をしようとしたわけで、立ち入り検査の目的を逮捕後速やかに行い、公務執行妨害だけなのか、疑いを持った犯罪のありなしをはっきりしなければならない。この場合漁業をしていたか否かをはっきりとしないといけない。
 (公務執行妨害だけで逮捕し嫌がらせをすることを常としているが、マスコミも含め間違っている)

 尖閣列島周辺で中国漁船が魚を捕りたい放題しているといわれるが、領海内についての上記法律を厳密に適用するか否かをはっきりと指示しておかないと現場は困る。

 領海以外については外交上話がついていればEEZなどが適用されるのだが、領土の同意が出来ていないのだから、定まるわけもない。
 中国とは漁業協定があり、毎年漁獲量とかが合意されている。その領域図はこれ最新の合意はこれ
 ただその合意された領域はお互いのEEZ、暫定措置水域、中間水域、である。尖閣列島を含む水域は27°以南水域であって、こちらの同意は将来課題だと私は読んだ。

 領海内は法的にもはっきりしているが、EEZ内は漁業交渉以外の決め手はないのではないかと思う。今のところ尖閣列島領海および近傍の水域は日本が実質支配しているが、将来中国が強力な艦船を送ってくれば、どうなるか分からない。
 その時に双方の漁船にどのような指示することになるのか、操業しても良いというのか否か、現在の姿と合わせて戦略的に考えていかなければならないだろう。

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この記事へのコメント

カタカナサヨク
2010年10月07日 12:36
マスゴミは販売不振を、一部政治勢力や官僚と結託して、戦前の満州事変へとまっしぐら?
日本のマスゴミのほとんどは、日本と中国の善悪にこう対立でナショナリズムを煽っています。しかし、そのソースは、客観性がないどころか、身内だけが知っているものを、なんら検証せず、垂れ流しただけ。とある記事に、米国政府の公式見解を載せていましたが、それには、むやみに煽り立てることはやめるべきだという示唆があったようです。いや、そのHP自体が捏造だとでもいうのでしょうか?日本のゴミに存在理由があるのか、自分で自分の首を絞めて何が面白いのか。
2010年10月07日 22:25
カタカナサヨク さん
日本のマスゴミに存在理由はないでしょうね。でもいまだに信じている人もいるようですから、複雑です。

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