民主党マニフェストの問題点

 民主党の大勝はほぼ確実になってきたようで。マニフェストについてかなり前に書いたが、民主党のマニフェストについて私が良くないと思う点について書いておいておきたい。今後の政策についての私自身の意見にもなる。

 1.○地方分権推進に伴う地方移管、国家公務員の手当・退職金などの水準、定員の見直しなどにより、国家公務員の総人件費を2割削減する。
 業務が減る事あるいは地方への移管に伴う人件費減、民間との比較による減は問題ないと思う。しかし、それは結果なので2割との目標設定に疑問がある。順序が逆だと思う。

2.【政策目的】
○行財政改革を進めるとともに、政権交代が実現しやすい選挙制度とする。
【具体策】
○衆議院の比例定数を80 削減する。参議院については選挙制度の抜本的改革の中で、衆議院に準じて削減する。
 「政権交代が実現しやすい選挙制度」はとんでもない理由付けである。国民の意見を過度に増幅し、民主主義をないがしろにするものだ。

3.○消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。
 テレビなどでも消費税増税を口にする。
 マニフェストでは「租税特別措置の適用対象を明確にし、その効果を検証できる仕組みをつくる。」とか「相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える。」などとも言っているから、バランスの良い税制度を志向しているようにも見えるが明確ではない。
 自公政権は消費税しか念頭にないようだが、民主党は本当はどうのなのだろう?

4.○所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する。
 歳入庁で一括して扱うには同じ番号で行うことは合理的と見えるが、個人情報をどのように管理するか、暴走を如何に防ぐか、注意が必要であろう。

5.霞ヶ関を解体・再編し、地域主権を確立する
 「中央政府は国レベルの仕事に専念」とあるが、例えば東海道新幹線は国レベルの仕事だった筈だし、成田や関空もその筈だ。国レベルとは自衛隊の事だけではない。政策に書いてある事は妥当なものが多いが、つめていく段階で本当にどちらがよいか、効率性や仕事の品質を考えていかねばならないと思う。霞ヶ関解体は粗雑な結論だと思う。

6.○国と地方の二重行政は排し、地方にできることは地方に委ねる。(国の出先機関、直轄事業)
 この言い回しは「官から民へ」のときと同じだ。本当に合っているのか?当然ながらこのレベルの議論であれば、「効率性を追及し、国に出来る事は国で行う」も同様に正しいのだ。
 国の出先機関にいる国家公務員の殆どは技官である。彼らは固有の技術により仕事をしている。そしてその仕事は地方に移管しても同様に必要だ。結局同じ仕事を分散してやるのか集中してやるかの選択のみなのだ。既得権や一部の高級官僚の問題は有るだろうが、それだけで判断できるものではない。民主党はどこまで分かってこんなことを書いているのだろうか?

7.環境対策
 ○CO2等排出量について、2020 年までに25%減(1990 年比)、2050 年までに60%超減(同前)を目標とする。
 ○全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度を早期に導入するとともに、効率的な電力網(スマートグリッド)の技術開発・普及を促進する。
 ○安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について着実に取り組む。
 私は今のCO2犯人説には完全に反対だ。それゆえにではないが、民主党の目標設定は日本の国益を害すると思う。日本のエネルギー効率は非常に高い。省エネルギー努力をまったくやっていない国と同列に扱う事は政治、外交の失敗だ。過去の失敗を継承するこの政策は誤りだと思う。
 効率的な電力網(スマートグリッド)がインチキであることはすぐにも判明すると思うのだが、誰がこんなインチキをうれしがって取り入れたのだろうか、情けないと思う。
 原子力は「トイレのないマンション」だ。必要悪はやはり悪なのだと思う。

8.○米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。
 その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。
 世界の国々とFTAの締結を推進すると書いてある。アメリカだけ取り上げたこの項はおかしな事は確かだ。追加した農業保護の文言はすべての国とのFTAにつけるべきものだ。
 経済の基本が書いていない、すなわち、企業に対する規制緩和、グローバル経済に対する基本姿勢が見えないと書いたが、FTAの推進は今までの自公政権の方針通りである。FTAを推進しつつ国内産業を育成し、国内雇用を確保し、福祉政策を拡大する事が本当に可能なのか、検討が必要なのだろう。
 何か新しいことを考えないと、確実に行き詰まり、自民党の復活にいたる事になると私は思う。これからが民主党の試される本番だ。

9.、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。
 と控えめに書いてあるが、「憲法提言」には次のことも書いてある。
②国連憲章上の「制約された自衛権」について明確にする
③国連の集団安全保障活動を明確に位置づける
 これが現行の9条から一歩進んでいる事は明確だ。憲法解釈で進まないように、先に進めておくとは、面白すぎないか?
 憲法改正は選挙結果に関わらず国民投票が必要だ。本当に良く考えないといけないと思う。

 
 野党が作るマニフェストに完璧なものはない。そのすべてが完璧ではないから支持しないとはならない。しかしながら政権を持った後には、その政策について関心を持ち、必要な場合には反対をしないといけないのだろう。
 国民にとっても政権交代は出発点に過ぎないのだろう。

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この記事へのコメント

カタカナサヨク
2009年08月27日 11:24
前回の総選挙、そしてこれまで自公与党が行ってきた政治から学んだことは、権力は腐敗し、多数を取るとむき出しの権力を行使するということです。だから、人類の長い知恵で、憲法ができたのですが、残念ながら現在の与党とそれを選ぶ有権者の民度は、江戸時代と同じ奴隷根性が染み付いてしまっているようです。
民主党には、選挙制度を中選挙区制か、比例代表制に変えた上で、二院制を維持することをしてほしいですね。衆院が難しければ、せめて参議院だけでも。議員定数の削減は、有権者の手足を縛る愚の骨頂です。

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