鎖国の奨め その2

 前回書いた鎖国の奨めはいささか素っ気無かった。それを良くする為でもないが、1000万人が反グローバリズムで自給・自立できるわけ―スローライフ大国キューバ・リポートを読んでいた。キューバはアメリカに経済封鎖されたいわば鎖国状態だ。どうやっているのか興味があった。
 以前に見た映画「ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ」での哀愁を帯びたしかし力強い音楽。古いアメ車の通るエネルギッシュな町。そんな事を思い出していた。

 この本はキューバの環境保護を主に書いているので経済面や軍事面の説明が少なく、本来の興味は満たされなかった。しかし引用されていた言葉には感動した。
1996年11月世界食料サミットでのフィデル・カストロの演説だ。
20年以内に、八億もの飢える人々を4億人にするだと。一体、何たる対策を講じるつもりなのか。もし謙遜して言っているのなら、この目標はまことに恥ずべきことだ。貧しき人々につきまとう飢餓は、この世界の不平等な富の分配と不公正な結果の故である。豊かな人々は飢餓を知らない。世界でかくも多数の人民を殺戮しているのは、資本主義と新自由主義の野蛮な市場原理、外債、発展の遅れ、そして不平等な貿易である。
(中略)
水は汚染され、大気は毒され、自然は破壊されている。それは投資不足のみならず、教育や技術の不足、人口増加の加速化のゆえだ。環境悪化で、未来は、日々、ますます危機的状況にさらされている。
 冷戦が終焉したと言うのに、なぜ、より精巧な武器を生産するのだろうか。こうした軍隊は、世界を支配する以外に何の目的があるのだろうか。低開発諸国に武器を売る猛烈な競争がなぜあるのだろうか。飢餓こそが、我々が抹殺しなければならないものではあるまいか

 偽善や嘘ではなく、真実を支配させよう。この世界から、ヘゲモニーと尊大さとエゴイズムを終えさせねばならないと言う現実に気づこう。今日、餓死する人のためになる鐘は、明日には全人類のために鳴ることになるだろう。
この演説のあと拍手は鳴り止まず、握手を求める人の列が長く出来たそうだ。フィデル・カストロは偉大な人だ。
 低開発国のためになる政策がアメリカの反対でつぶれている。そしてそれに賛成して一緒になって潰しているのが日本だ。日本はそれから脱しなければならない。
 この本では日本の江戸時代についても語られている。自給自足の日本は環境面では先進的なものだ。私の鎖国論と符合していると思った。

 格差が問題だとか、格差はいつの時代でもあるとか言われているが、問題なのは貧困であり、飢餓であり餓死なのだ。前回書いた「鎖国の奨め」は日本国内の貧困を避ける方法だ。一応ODAなど援助は書いた。しかし、不十分だ。

 前回鎖国を書いた。それはアメリカを中心とする資本主義からの鎖国を意味する。しかし、協力すべき仲間は存在する。非西洋の低開発国、それが仲間だ。新自由主義の食い物になっているそれらの国をまともな方向に持っていくことが必要な事ではないのだろうか。


 日本は明治になって鎖国から開国に向かった。その開国論に横井小楠のものがある。
「堯舜孔子の道を明らかにし
 西洋器械の術を尽くさば
 なんぞ富国に止まらん
 なんぞ強兵に止まらん
 大義を四海に布かんのみ」

 小楠の唱える富国強兵は、単なる「西洋文明の輸入」ではなかった。本書で詳述するが、小楠は「西洋文明はあくまで技術として優れているのであって、そこには徳はない。日本は東洋の徳ある文明をもとに、そこに西洋の科学文明を取り入れるべきだ」と考えた。西洋文明の行き着く先は「覇道」である。日本が歩むべきは「王道」であり、東洋と西洋の長所を生かした国家をつくり、覇権ではなく「仁義」に基づいた「富国強兵を超えた理想国家」となって世界の世話を焼け、と説いたのである。ちなみに、かつて小渕恵三首相が施政方針演説で唱えた「富国有徳国家」という言葉も、その小楠の思想を表わしたものである。
 小楠は「和とか戦いとかいっても結局偏した意見であって、時に応じ勢いにしたがって、そのよろしきを得るのが真の道理である。信義をもって応接し、我が国に義があれば、万国を敵に回すようなことはない」とも書いている。時勢に応じて是々非々で考えよ、という柔軟性と現実主義。高い理念とこうした柔らかな姿勢が、当時の心ある人々をとらえたのだ。横井小楠 ─維新の青写真を描いた男─
 この本「横井小楠 ─維新の青写真を描いた男─」を読みたくなった。現在でも通じる日本の偉人では無いだろうか。
 
 日本は小楠の言うとおり富国になった。しかし徳の無い西洋と共に覇道を歩いている。それに別れを告げ、カストロが言う大義を広めなければならない。西洋に対しては「鎖国」し、大義を持つものたちに対して「開国」をしなければならない。

 日本は環境問題の主導権を持ちたいと表明しているが、新自由主義者として主導権を持つのではなく、偽善や嘘ではなく、真実を支配させる為に、世界の世話を焼こう。

 それが鎖国論であり開国論ではないのだろうか。

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この記事へのコメント

2007年10月23日 00:45
こんにちは。弊ブログへのコメントとTB、どうもありがとうございました。
日本のみならず、韓国も中国も事実上新自由主義政策をとっていて(中国なんかは世界でももっとも過激な新自由主義国家のように思います)、アメリカの思う壷ですよね。
東アジアも、いちはやく反新自由主義へハンドルを切った中米に続くべきだと思います。日本を中韓と反目させようとするのも、アメリカの戦略の一つだと思えてなりません。

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