今日は沖縄の「慰霊の日」

今日は沖縄の「慰霊の日」。沖縄の人の1/4が亡くなったといわれる沖縄戦の組織的戦闘の終結した日。改めて祈りを捧げたい。

 毎日新聞社説:視点 沖縄戦 捨て石の無念と不信は今も消えない=論説委員・玉木研二には基本的に賛同する。

 しかし、次の部分に違和感を感じる。
日本軍にとって沖縄は米軍を引きつけて消耗させ、本土決戦の準備時間を稼ぐ島だった。一方水面下では政府や重臣、宮中の中に「和平」を模索する動きがあった。だが中央の要人たちは互いに顔色をうかがい、特に軍部を恐れ、優柔不断のまま時を空費する。

 国の中央がかじ取りを失ったような無責任の連鎖状態の中で、沖縄は文字通り「捨て石」として放棄された。現地でも軍には住民の保護、安全確保という発想や態勢が極めて乏しかった。
 
「軍部を恐れ、優柔不断のまま時を空費する。」とある。
 「軍部を恐れ」とは軍部の何を恐れるのか。軍部のいじめか?それとも首相による左遷か?それとも徴兵か?それとも軍事テロか?
 いずれにしても恐れている事が実現すれば、「和平」の模索は出来なくなるだろう。あとを継ぐ人が必ずいると言う保証がどこにあるのか。
 中央の要人というが、その中心には昭和天皇がいた。昭和天皇はもし戦争に反対すれば殺されていただろうと言っている。そこまで行かなくても軟禁や摂政を置くなどの手段もある。

 「和平」の模索はただ一度のチャンスだったと思う。彼らは優柔不断といわれるかもしれないが、沖縄、原爆、ソ連参戦と軍部が弱りきるのを、焦燥の中で待っていたと思う。そしてそれをやり遂げた。
 沖縄、原爆、ソ連参戦などの前に戦争を終えればよかったと私も思う。しかし、当事者の立場を考えれば、それは結果論的な評論ではないかと私は思う。


「沖縄は文字通り「捨て石」として放棄された。」は何を言っているのか。
 沖縄に迫る大兵力の米軍。沖縄に上陸するとなってもそれを阻止する軍事力は無い。軍事力の温存を考えるなら、軍を派遣せず、今いる軍は引き上げるのが軍略だ。
 もう一つの戦略「捨石」は少ない兵力で相手に手間をかけさせ、時間を稼ぎ、他の方面の作戦を行う事を言う。従って、沖縄に派遣した軍隊は全滅になる事を意味する。(相手がそれを嫌がって無視すれば、そのまま残る。)
 そこに「捕虜になるな」という指導をあわせると、軍隊全員が死亡する事を意味する。


「現地でも軍には住民の保護、安全確保という発想や態勢が極めて乏しかった。」
 「極めて乏しかった」と言う事は少しはあったということか?
 この作戦は上記のように軍隊全員が死亡するまで戦うものだ。その中で住民の保護が出来るものか。何の安全確保が可能なのか。
 軍隊の目的からすれば、一日でも長く沖縄で戦闘を行う事であり、そのためには利用できるものはすべて利用するのが、合理的考えだ。住民は戦闘員にも戦闘員補助にも利用可能だ。
 また、米軍に投降すれば日本軍の配置などが敵に漏れてしまう。防諜問題は軍事の重大事だ。従って敵に接触する事はもちろん投降する事も防ぐ必要がある。
 そのためには軍隊が全滅するまでは一人として投降してはならず、それを阻止するあらゆる事を行わねばならない。

 この冷たい論理がこの戦いだ。そこには「住民の保護、安全確保」などは入る余地など無い。

 しかしながら、このような論理は国際法上の決まりではない。日本はシナ事変などと称して国際法を無視した戦いを行ってきた。太平洋戦争は戦争であるのに、投降を認めないと言う国際法とあわないやり方を継続し、沖縄では住民にもそれを強要した。(同じ教え方は本土でもすでに行われていた。また捕虜になっても軍事機密をいう義務は無いとも教えられなかった。)
 本来、非戦闘員を区別し、軍事機密に触れないようにし、戦闘から分離する必要がある。日本軍はそれを行わなかった。

 

 この二つの歴史の評価は緒論あるのかもしれない。しかし、社説の文章はあまりにもぬるま湯に入った議論と思えてならない。追い詰められた人間達の現実は厳しく、それをこうであったら良かったと軽く言っている様な気がする。
 
 戦後60年、このような歴史描写が見られるのはやはり、戦争は遠くなってしまったと言う事なのだろうか?

この記事へのコメント

飼い犬に手をつかまれた男
2007年06月24日 22:15
沖縄戦に於いて手段自決の起こら無かった島に共通するのは日本軍が駐留しなかった島が殆どであり、例外的に軍の駐留した島で難を逃れたのは司令官の個人的資質による処が大きいと聞いた事がある。
2007年06月24日 23:42
飼い犬に手をつかまれた男 さん
そういうことなんでしょうね。

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