なぜ国の財政は悪化したのか

 毎日新聞の記事に表記の質問の解答が載っていた。この記事はふり仮名も多くつけられ、ティーンズ向きの記事のようです。(記事は末尾)
日本は90年代初めにバブル経済が崩壊し、長い景気低迷期に入りました。政府は冷え込んだ景気を盛り上げようと、道路や港(こう)湾(わん)の建設といった公共事業を増やし、一方では減税を連発しました。そうすれば企業の業績が上向き、働き口や働く人の給料も増えて消費が活発になり、景気が回復すると考えたのです。うまくいけば税収も増えて財政は改善しますが、公共事業や減税をしても、期待したほどの景気回復効果はなく、借金だけが積みあがりました。
大変分りやすい説明です。
少し追加説明をすると
 減税は個人向けもあったが、とりわけ高所得者の減税が多く、企業特に大企業にとって減税はされている。個人向け(低中所得者)減税は既になくなりましたがその他の減税は継続している。
 公共事業は国のみならず地方公共団体も多く行った。地方の借金も国の指導によるものであった。

 現在の大企業の業績向上による景気回復は、中小企業への支払いを抑制し、余剰労働力を首切りし、若年者を中心とする非正規雇用の促進による労働コストカットによるものだ。


 記事では
子孫にツケを回さないよう、この借金を今のうちに減らして健全な財政に戻(もど)そうというのが「財政再建」です。
と続きます。

 公共事業と経済強者への減税により積みあがった借金を、子孫にツケを回さず現在世代の老人や経済弱者に負担させるのだろうか。恩恵を受けた公共事業関係者と経済強者が負担するべきではないのか。


 難しい記事では良く分からないが、この記事は非常に良く分かる。NHKテレビの「子供ニュース」も良いが、この記事も素晴らしい。


 



ティーンズに開くNewsの窓:/21 増税、本当に必要? 借金に節約追い付かず
 小泉純(じゅん)一(いち)郎(ろう)首相が退(たい)陣(じん)し、安(あ)倍(べ)晋三(しんぞう)氏が首相に就任しました。来年の参院選が終われば、消費税を増税するかどうかの議論が本格化しそうです。国の借金が膨(ふく)らみ続けているためで、消費税だけでなく、給料などにかかる所得税や、企(き)業(ぎょう)の利益にかかる法人税など、税金全体が見直され、全体としては増税になりそうです。増税は本当に必要なのか--。国の財政が悪化した背景や、日本の税金事情を探りました。【山本明彦(やまもと・あきひこ)】

 06年度予算で、日本の国と地方自治体(都道府県や市町村)を合わせた税収は総額86兆4253億円。国内の人や企業が1年間に得る所得(国民所得)の23%が、税金として国や地方に納められます。

 ◇狙われる消費税

 このうち、社会保障や防衛、教育など国の一(いっ)般(ぱん)的(てき)な事業を行う「一般会計」に充(あ)てる税収は06年度予算で45兆8780億円。企業の業績がよく法人税などが増えているため、実際は50兆円を超(こ)える可能性もありますが、ピークだった90年度から約2割減っています。

 一般会計の税収の内訳は、企業の利益にかかる法人税が13兆580億円(全体の28・5%)で、18年ぶりに所得税を抜(ぬ)いてトップになりそうです。企業の業績が上向いて利益が増えると、税収も多くなるのです。

 サラリーマンの給料など個人の収入にかかる所得税は12兆7880億円(同27・9%)。次いでモノやサービスの売り買いの度に納める消費税の10兆5380億円(同23・0%)と続き、この基(き)礎(そ)的(てき)な三つの税金だけで全体の8割に達します。このほか、ガソリンなどにかかる揮発油(きはつゆ)税2兆1560億円、ビールや日本酒などのアルコール飲料にかかる酒税1兆5720億円、財産を相続した時にかかる相続税1兆3800億円などがあります。

 所得税はバブル経済崩(ほう)壊(かい)後の景気低迷と減税のダブルパンチで減少傾(けい)向(こう)にあり、ピークだった91年度の半分しか稼(かせ)げていません。法人税は4年連続で増えそうですが、やはりピーク時の7割程度です。例えば、不良債(さい)権(けん)の処理で過去に大赤字を出した大手銀行は、その損失をまだ繰(く)り越(こ)しているため、法人税を納めていません。

 一方、消費税は景気に左右されず、10兆円前後で推移しています。不(ふ)況(きょう)でも食事など必要なお金は使わないといけないからです。消費税率が20%程度の国が多い欧(おう)州(しゅう)と比べると日本は5%と低く、まだ引き上げる余地が大きいため将来の財源として「消費税頼み」の風潮が広がっています。

 ◇収入は支出の6割ほど

 なぜ増税が議論されているのでしょう。国が社会保障や防衛、教育などにかける費用は約80兆円(06年度予算一般会計)ですが、このうち税金でまかなえるのは6割にすぎません。残りの大部分は国(こく)債(さい)(借金)で調達しているのが現状です。

 こうした借金は06年度末(来年3月末)には国だけで542兆円に達します。1万円札を積み上げると5420キロメートル。富士山の1435個分の高さです。これに地方自治体の借金を加えると775兆円に達します。国の財政を家計に例えると、1カ月の月収が40万円しかないのに、64万円の支出があり、残りの24万円は借金でまかなっているという有り様です。借金の残高は5200万円に上り、さらに増え続けます。

 借金が増え続けると、利息の支(し)払(はら)いなどに追われ、福(ふく)祉(し)などのサービスが低下します。さらに、貸手(国債を買う銀行など)は返済能力を心配し、万が一に備えて金利を上げようとします。銀行の貸出金利は国債の金利を参考にしているため、国債金利が上がると、企業が工場を建てたりする時の借金や、住宅ローンの金利も上(じょう)昇(しょう)します。そうなると、世の中全体にお金が回らなくなり、景気が冷(ひ)え込(こ)みかねません。

 借金を減らすには、支出を減らすか収入(税金)を増やすしかありません。国は必要度の低い公共工事を減らすなど経費削(さく)減(げん)に懸(けん)命(めい)ですが、高(こう)齢(れい)化(か)が進み介(かい)護(ご)や医(い)療(りょう)などの費用は増えるばかり。支出を減らしても追いつかない分は、税金でまかなうことになります。

 では、なぜ国の財政は悪化したのでしょうか。日本は90年代初めにバブル経済が崩壊し、長い景気低迷期に入りました。政府は冷え込んだ景気を盛り上げようと、道路や港(こう)湾(わん)の建設といった公共事業を増やし、一方では減税を連発しました。そうすれば企業の業績が上向き、働き口や働く人の給料も増えて消費が活発になり、景気が回復すると考えたのです。うまくいけば税収も増えて財政は改善しますが、公共事業や減税をしても、期待したほどの景気回復効果はなく、借金だけが積みあがりました。

 子孫にツケを回さないよう、この借金を今のうちに減らして健全な財政に戻(もど)そうというのが「財政再建」です。

 ◇所得税、相続税も

 消費税は同じ商品やサービスを購(こう)入(にゅう)すると、所得の多い人も少ない人も同じ額を払(はら)うため、低所得層ほど負担感が大きくなります。所得税には、所得の多い人ほど高い税率が適用される「累(るい)進(しん)課税」という仕組みがありますが、消費税には、こうした仕組みがありません。消費税が増税された場合、この「欠点」を所得税や相続税の増税で補うことも検討されています。

 高所得者にかかる所得税率を上げる手法などが考えられます。相続税は相続額が大きくないと納税しなくてすむため、亡くなった人100人のうち4、5人の遺産にしか課税されません。例えば遺族が妻と子供2人の場合、遺産総額が8000万円までなら納税の必要がありません。資産を持っている人には、できるだけ負担してもらうことが検討されています。

 ただ、少し前までは「高所得層の負担が大き過ぎる」という意見が強く、低所得者も含(ふく)め、なるべく多くの人に「広く薄(うす)く」税金を納めてもらうように税制を改めてきたという歴史があります。こうした過去の政策とつじつまが合うかが問題になりそうです。経済界からは「いくら稼(かせ)いでも税金で取られると、働く意欲が薄(うす)れる」との批判も出ています。

 また、所得税は今後、増税の方向で議論されそうです。税収はバブル末期の91年度に26兆7000億円だったのが、05年度は15兆7000億円にまで落(お)ち込(こ)んでいます。

 税収を増やす対策として挙げられるのが「控(こう)除(じょ)」の見直しです。控除とは所得から一定の額を差し引くことで、差し引き後の額が所得税の対象になります。控除されるのは、生活に最低限必要な費用や子育ての費用など。例えば、サラリーマンの場合は仕事の経費とみなされる分が「給(きゅう)与(よ)所得控除」として、所得から引かれます。夫婦と子供2人の世帯で1年間の収入が700万円あった場合、給与所得控除や奥(おく)さんがいる人に対する「配(はい)偶(ぐう)者(しゃ)控除」などが適用され、課税対象額は263万円になります。

 国の財政を担当する財務省内には一つ一つの控除が本当に必要かどうかを見直す動きもあります。控除を削(けず)れば、すなわち増税になります。

 ◇法人税は軽減か

 これに対し、法人税の増税は難しいのが実情です。企業の海外での活動が活発化し、国内だけでなく外国の企業との競争が激しくなってきたためです。他(ほか)の国より法人税が高いと、企業の税負担が重くなり、研究開発や工場建設などに資金を回しにくくなります。そうなると、企業の競争力が弱まり、日本経済全体にも悪(あく)影(えい)響(きょう)を与(あた)えかねず、経済界は軽減を求めています。

 このほか、使い道を決めて税金を集める「目的税」の見直しも課題です。例えば、自動車の購入時や車検の際にかかる自動車重量税、ガソリンにかかる揮発油税などは道路整備に充てる「道路特定財源」です。こうした目的税が多いと、税金があるからといって不必要な仕事までしてしまうことになりかねません。

 こうした無(む)駄(だ)遣(づか)いをなくすため、一般会計に回して福祉などのさまざまな財源に充てるべきだという意見があります。また、自動車関係の税金を車の排(はい)ガス対策などに使う「環(かん)境(きょう)税(ぜい)」の考え方もあります。(毎週月曜掲載)

毎日新聞 2006年10月2日 東京朝刊
 

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この記事へのコメント

2006年10月23日 11:43
掲示板の「何を政治に期待するか」「安倍政権に物申す」に書いております。
飯大蔵さんのなぜ国の財政は悪化したのかという問い掛けに対する答は明瞭です。
公務員が自身の為すべき事を考えずに、前例ありきだけで無難を好んで仕事をしてきた付けに他なりません。公務員を監督すべき政治家の責任が最も重大です。
森内閣までは、官僚に国会答弁書や予算案の原案を作って貰っていたんですからお話になりません。その点、安倍内閣では小泉路線を引継ぎ、官邸機能の強化を図っているのは悦ばしい事です。
仕事の内容まで踏込むのに何年掛るかなあ。時間が掛る事は確かです。公務員が国民の規範となって、背中を見せてくれだすと八百兆位の負債は大した事ないんだがなあ。

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