いわゆる「地方」について(その2)

 いわゆる「地方」についての続きです。

 自由経済の下、産業の縮小と同時に地方も縮小してよいのか。思考実験としてそれを進めたらどうなるか考えてみよう。

 林業は既に壊滅状態だが、一部の高級木材のみの生産が続くだけだろう。過去に植林された山も旱魃もされず荒れ放題になる。一部松茸の取れる山のみが維持される、
 漁業は大規模漁業、養殖漁業は何とかやっていくだろうが、沿岸漁業はなくなっていくだろう。半農半漁の村は自給自足なら残るだろうが、都会に出て行く道を選ぶだろうから消滅する。
 農業は近郊農業や一部の物しか残らない。補助を撤廃し農作物を無制限に輸入可能にすればまず残らない。大規模農業であっても、人件費は高いままだし、省力化のはかれる大規模農地になっている所は少ないので世界のコストレベルに達する事は困難だ。
 日本の農作物はその品質の高さが有名だ。昔からのもので言えば京野菜がある。非常な高値で取引されている。日本料理店が世界に展開していて、そこで使う食材に高品質を求めれば日本からの輸出品も勝負が出来るかもしれない。中国も豊かになれば高品質食材の巨大マーケットになるかもしれない。小沢一郎氏はこの事を言っていて小規模農家にも望みはあるのは確かだ。しかしその量は本当に日本の農業を救うほどあるのだろうか。日本の米がいくらおいしいといっても既においしい米の種は海外に流出してしまっている。他のものも大差ないだろう。
 結論としては日本では食糧生産する必要はなく、一部を除いて農業は壊滅する。

 一次産業はほぼ壊滅し、商業的に成功できるわずかな物のみになる。それは企業が経営する一次産業だろう。

 都会人が心を癒すべきレジャー施設は必要であり、レジャー産業だけが広い大地に残るだろう。
 その結果多くの農村、漁村は放棄されるだろう。その中心都市も周辺の人口減を受け、機能は大幅に縮小されるだろう。
 無人にになった里山は荒れ果てていく。農地は荒地となり雑草がはびこる。山は放置され、自然林に戻っていく。そこに起こる問題は何だろう。


 人工林の放置により起こっているのは表土の流出と保水力の低下です。
 人工林は放置すれば自然林になって行きますが、放置された人工林は下草も生えず、自然の樹木が生えだすまでに表土はかなり失われてしまうでしょう。一度禿山になり長い年月の後にやっと自然林になると思います。われわれの世代の話ではないでしょう。

 洪水時には一気に大量の雨水と土砂、材木が出てきます。それがダムを埋めダムの寿命を急速に短くしています。そして洪水調整能力の低下にいたります。最下流の都会にも大きな影響を及ぼします。
 また山崩れが多くなります。人が住んでいないところで山崩れが起ころうと関係無いといえば関係ないが、道が無くなっていくので再びその土地に入る事が困難になります。

 農地では畑の表土流出が田より大きい事は知られています。また、田は水を保つ効果が非常に大きい事も自明の事です。農地の放棄により表土の流出と保水力の低下が加速されます。

 下流の洪水以外の大きな問題は水資源です。都会の水資源はダムの存在により何とか維持されています。上記により雨水は一気に海に流れ落ち水資源は確保しにくくなるでしょう。ダムを作ってもその寿命はどんどん短くなる事でしょう。

 レジャー用の施設は必要だと言いましたが、その地点だけは維持できてもそこへのアクセスを維持するには道を保全しないといけません。洪水や山崩れが頻発すると困難になってきます。きっちりやろうとするとその地域全体を保全する必要が出てきます。放置するエリアと維持するエリアを分けて考えるのでしょうか。

 
 農業などの一次産業を放棄することは日本全体の自給能力をなくします。無論石油の輸入が止まるだけで日本経済は止まります。そんな事は起こる筈はないし、起こらないようにする事が必要である事は言うまでもないのですが、リスクマネージメント風に言えば食料さえあれば経済活動が止まっても生きていけます。生き延びて、経済を復興させる事は可能なことです。食糧自給能力は防衛問題の基本だと思います。


 「地方」の問題は国土保全と食糧自給(水資源)の問題であると思います。そしてそれを維持するために、地方交付税を国土面積と人口比例にする考え方は正しいのだろうと思います。しかし今の国土面積比例による金額は国土保全をするだけの額は多分ないのでしょう。人口比例分も健康で文化的な生活をするには不足しているのでしょう。
 
 何故「地方」に補助をしないといけないのか。国土を保全し必要な食料を国内で確保すると言う目的を、目の前の経済的価値を超えた国民のコンセンサスにしないとうまく行かないと思います。

 (注)全体的にかなり強引な論じ方ですので、突っ込み所は多いと思います。細かいところはお許しを。

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