飯大蔵の言いたい事

アクセスカウンタ

zoom RSS 混合診療と裁判

<<   作成日時 : 2010/12/22 18:10   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 混合診療に関する裁判があったことは記憶にある。それが最高裁まで行っているとは知らなかった。

 今日見た毎日新聞のクロストロークという怪しげな企画の中で出てくる。「混合診療解禁の是非は裁判でも争われ、東京地裁は07年11月・・・・」と書いてあった。判例検索システムであたっても、いつものごとく話題に上った判例はそこにはない。だが裁判の原告がつくったHPがあった。判決文もそこにあった。

 判決文の18ページにある次の記述がこの裁判の性格をはっきりと表している。
しかしながら,そもそも,一般的にいえば,保険診療と自由診療が併用された混合診療については,一方で,併用される自由診療の内,何をどのような方式で保険給付の対象とすべきか,また,それに伴う弊害にどのように対処すべきかという問題があり,他方で,自由診療が併用された場合にもともとの保険診療相当部分についてどのような取扱いがされるかという問題があるところ,これらは別個の問題であって,両者が不即不離,論理必然の関係にあると解することはできない。そして,本件の問題の核心は,まさに後者の問題,すなわち,原告が,個別的にみれば,法及びその委任を受けた告示等によって,法63条1項の「療養の給付」を受けることができる権利を有すると解されるにもかかわらず,他の自由診療行為が併用されることにより,いかなる法律上の根拠によって,当該「療養の給付」を受ける権利を有しないことになると解釈することができるのかという点であるところ,法律上,上記のような解釈を採ることができないことは,縷々述べてきたとおりである。また,このような法解釈の問題と,差額徴収制度による弊害への対応や混合診療全体の在り方等の問題とは,次元の異なる問題であることは言うまでもない。
 判決文特有の読みにくい文章だが、混合診療の是非と混合診療を行ったときの罰則としての保健医療費を国が負担しないこととは異なる問題であるとしている。この裁判では保険医療費を国が負担すべきと論じているのであって、混合医療の是非は判断していないのである。

 クロストロークで引用しているように見えるのは「保険外診療の併用により、保険対象の診療分まで給付を受けられなくなる根拠は見いだせない」だ。判決文を検索してみてもこの文章はない。これは引用ではなく要約である。ではこの要約は正しいのだろうか?
 
 似た部分はこんな表現だ。(10p)
しかし,法は,このほかに「療養の給付」の具体的内容について何ら定めていないのであって,これらの法の条項の規定を見る限りにおいては,個別的にみれば「療養の給付」に該当する医療行為であっても,それに保険診療に該当しない医療行為が併せて行われると,それらを一体とみて,前者についても「療養の給付」が受けられないと解釈すべきであるという根拠はおよそ見出し難いと言わざるを得ない。
 法律の条文上根拠がないとの表現であり、これを省略することにより世間一般に根拠がないと思わせる悪質な要約である。

 クロストロークでは引用文に続いて、「と混合医療禁止に疑問を示しました。」とある。実は引用文とこの結論に違和感があったので調べていったのだが、こんなに露骨なすり替えがあったとは逆に驚きだ。

 原告清郷伸人氏が生存をかけた戦いを裁判で行っているとしたら、それを全面的に支持をする。だがマスコミなどがこの裁判を混合医療解禁へのテコに利用するとしたら、それには反対する。この二つの問題が別物であることは判決文が示したとおりである。

 混合医療を禁止するのに、保険診療部分の不払いを罰則とするのは、富裕層でないものにとっては死の宣告に等しい。混合医療で問われているのは未認可医療の取り扱いであり、医療行為の危険性については別途対策を検討するべきである。

 方や高額医療を富裕層が独り占めにする問題については、医療の根本に立ち返れば解決は簡単なはずだ。同時に医療費抑制のため保険対象を絞り込む議論などは生存権を侵す暴論と言えよう。

 クロストロークで勝間和代氏は混合医療を進めよと言う。論理を曲げてまで結論を押しつけるそのやり方が問題だと思う。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
混合診療と裁判 飯大蔵の言いたい事/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる