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help リーダーに追加 RSS 国民年金法における時効

<<   作成日時 : 2007/05/31 23:26   >>

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 国民年金の時効を無くす法案が、今日か明日かに衆議院を通過しようとしている。この法律自体はいいと思うが、そもそも年金の時効とはどのような決まりなのだろうか。

 国民年金法ではこう規定されている。
(時効)第102条 年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日から5年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 前項の時効は、当該年金給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。

 年金を受ける権利を活かすには請求が必要だ。
(裁定)第16条 給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、社会保険庁長官が裁定する。給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、社会保険庁長官が裁定する。

 年金受給年齢(60〜65歳)に達したら申請が必要との事。普通の保険に入っていたら(死亡は向こうには分からないが)満期になった時に通知が来る。年金保険は通知もないみたい。
 これだけでも不親切極まりないと思う。

 しかも役所側が裁定するのだ。全額をもらえない場合は時効が進行しないが、一部だけもらっている場合は時効が進行し、後で判明しても5年以前のものはもらえないと言う理屈だ。
 【自営業 大西満さん】の例が載っている。


 もう一つ時効が進行しない例がある。
(不服申立て)
第101条 被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行つた障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
2 審査請求をした日から60日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
3 第1項の審査請求及び前2項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
5 第1項の書査請求及び同項又は第2項の再審査請求については、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第2章第1節、第2節(第18条及び第19条を除く。)及び第5節の規定を適用しない。

 不服は通常書類で行わなければならないが、5項で適用しないとなっている。しかし、役所に不服を言ったとしても、記録に残らなければ効果が無い。


 さて、今回問題になっている事例は、申請忘れではなく、社保庁の事務ミスによるものだ。窓口のミスにより発生した問題の処理の例がある。
老齢年金 24年さかのぼり支給
山梨の85歳に1000万円  加入期間誤認で

 「社会保険事務所のミスで老齢年金を受け取れなかった」と訴えていた山梨県の85歳の女性に対し、社会保険審査会が24年前にさかのぼって未払分の年金を支給する決定を下していたことが2日、分かった。支払われる額は既払い分と合わせ1000万円を超すとみられる。20年余りもさかのぼって年金が支給されるのは極めて異例という。
 この女性は1957年に厚生年金に加入し、75年11月まで厚生年金、国民年金の保険料を支払った。一時期、未加入の期間があったが、加入期間は通算で約17年に及び、通算老齢年金の受給資格が発生していた。
 ところが、女性はこの間に、仕事をいくつか変え、その度に年金番号や通帳が更新された。社会保険事務所はそれを把握できず、最後の勤務先の5年分だけを加入期間と誤認し「年金受給資格はない」として処理。5年分の厚生年金脱退手当として約4万円を支給していた。
 女性は高齢で娘の介護を受けるようになったが、最近、「周りの人たちはみんな(年金を)もらっているのに、なぜ自分はもらえないのだろう」と訴えた。このため、家族が社会保険労務士に相談し、同審査会に不服申し立てをした。
 その結果、昨年12月、受給資格があることが判明。しかし、最近5年分約360万円の支給にとどまり、それ以前の分は時効とされた。女性側は「厚生年金脱退手当ての支給決定があったので、年金を請求しようにも、できなかった。窓口のミスで不利益を被ったので時効は成立しない」と主張。同審査会は再度審査した上で今年2月26日、24年前の75年9月(女性が62歳で仕事を辞めた時)にさかのぼり、通産老齢年金を支給することを決めた。支給額は約800万円になるとみられ、すでに支給済みの分と合わせると1000万円を超える。
 女性は、支給が決まって「こつこつと保険料を支払ってきた努力がやっと報われた」と喜んでいるという。
 社会保険庁の田中佐恵・年金審査専門官は「年金手帳や年金番号を複数持つなど、いろんな条件が重なり、受給資格があるのに、年金を受け取っていなかった。コンピュータで事務処理が整備された最近では、考えられないケース」と話している。【渋川 智明】
1999年4月2日 毎日新聞   ここから
 最後の「コンピュータで事務処理が整備された最近では、考えられないケース」はお笑いだ。
 ここで重要なのは、「窓口のミスで不利益を被ったので時効は成立しない」の主張が通った事だ。窓口であろうとコンピューターであろうと、社保庁のミスである。この判例をどう考えているのだろう。

 先ほどの【自営業 大西満さん】の例の弁護士がこう言っている。
【谷沢忠彦弁護士】
「時効は99パーセント成立する余地がありませんよ。自分が悪いことをしておきながら、それで時間がかかり『時効だ』と。そんなバカなことは世の中にありません。裁判所も認めません」


 法律から見た結論
1.時効は一部の年金を貰っている時に進行する。
「年金給付は、年金を受ける権利ができた日から5年以内に請求しないと、時効によって受けられなくなります。 もらい忘れの年金があり、請求すると5年分まとめて支給されます。ここから」は法律に沿っていない。
2.本来の権利以下の年金を受給していれば、時効は進行し差額返還は5年以前にはさかのぼれなくなる。
3.支給額に異論がある場合、審査請求、再審査請求が出来、その場合は時効が停止する。なおこれは口頭でも可能。

 
 年金を受給開始する人が額が少ないと異議を唱えても、領収書などの記録を示せなければ社保庁は簡単に却下するだろう。その異議を社保庁は記録しないので承諾したとされてしまう。
 この場合受給が開始され、時効が進行していく。

 では社保庁の裁定が事実に基づかないものだったらどうなるか。これは法律には書いていない。そのような事は無い事を前提としているからだ。
 法律にないことは裁判をしないと結論が出ない。法治主義の原則だ。窓口のミスの例では全額返還の判例が出ている。弁護士の意見も同じだ。

 従って、今回の記録ミスに伴う時効問題は、本来不当なものである。しかし、不当な運用がなされてきた事は事実であり、社保庁の運用を変えることで判例に合った処理が出来る事項であると結論を出す。救済法案は、あれば明確に運用変更ができるがなくても適切な処理は出来る。立法で対応するべきものではない事も明確だろう。

 さらに、この法律だけでは国民の側に記録がない場合の救済は極めて困難だ。社保庁が間違った記録を探すと言っているが、泥棒に盗品を探せと言っているのに等しいので、隠されたらそれまでだ。どこまで信用できるのか。次の言葉を紹介しておく
最後に、大西さんは、年金を掛けている全ての人に向けて、こうアドバイスする。
【自営業 大西満さん】
「とにかく、年金を支払い始めたときから領収書を持っておかないと、時効消滅はまだまだ続くと思う。絶対に直らないと思う」


 といっても国民の主張がすべて正しいとはいえない。中には便乗組みもいるだろう。きっちりと調査するには膨大なコストがかかるだろう。
 どうすりゃいいのと悩む。


 簡単な解決方法を一つ提案しよう。
 年金額がある金額を下回る人には、申し出どおり支払う。
 ある金額を上回る人については、明確な記録、社保庁のミス記録の突合せを行う。記録の突合せは名前、生年月日などをキーにするなど簡易な方法のみとする。それでも判明しないものは支払わない。

 年金、特に基礎年金は社会保障の一面を持つ。最低生活を送れない人に年金を支払うのは憲法の精神にもあっている。




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