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help リーダーに追加 RSS 戦後賠償における私的請求権について

<<   作成日時 : 2007/03/27 20:42   >>

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 最近話題の「従軍慰安婦」や在韓国原爆被爆者の賠償などを求めて日本の裁判所の訴える事例が多い。
 「日韓の相互理解と戦後補償」日本評論社に過去の補償裁判の一覧表がある。そこには、サハリン残留韓国朝鮮人、韓国軍人軍属損害賠償、強制連行補償、BC級戦犯補償、従軍慰安婦補償、軍人恩給請求、強制連行被爆に伴う賃金補償、帰国途中の浮島丸爆発に伴う補償、軍票の補償などなど盛り沢山だ。

 あの戦争に伴う個人賠償は次の条文により放棄されたものと思っていたが違うのだろうか。
日本国との平和条約(サンフランシスコ条約)
第十四条【賠償、在外財産】
(b) この条約に別段の定がある場合を除き、連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとつた行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する
ここには「国民の他の請求権」と明記されている。日本国との平和条約を締結していないアジアの国々とは別途平和条約などを結んでいるが、同様の条文が見られる。
第二条  シンガポール共和国は、第二次世界大戦の存在から生ずる問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認し、かつ、同国及びその国民がこの問題に関していかなる請求をも日本国に対して提起しないことを約束する。
2 ビルマ連邦は、この条約に別段の定がある場合を除くほか、戦争の遂行中に日本国及びその国民が執つた行動から生じたビルマ連邦及びその国民のすべての請求権を放棄する。
 オランダは日本国との平和条約を締結しているから個人の請求権も放棄しているはずなのに、「オランダとの私的請求権解決に関する議定書」が存在する。これはおかしいと思い、調べてみた。
第024回国会 外務委員会 第23号 昭和三十一年三月二十三日(金曜日)
○森下政府委員 ただいま議題となりましたオランダ国民のある種の私的請求権に関する問題の解決に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。
 第二次世界大戦中、旧蘭印地域に在住し日本軍によって抑留されたオランダ国民は、食糧不足、悪居住条件、衛生及び文化施設の欠除等によって多大の苦痛をこうむり、その結果として多数の死亡者及び廃疾者を出したのでありますが、昭和二十六年九月のサンフランシスコ平和会議に際し、オランダ政府は、この問題を提起し、その結果わが国の吉田全権委員とオランダのスティッケル全権委員との間で書簡の交換を行い、右の被抑留者が受けた苦痛に対してわが方が好意ある自発的措置をとることあるべき旨を確認した後に、オランダ政府の平和条約調印が行われた経緯があります。
 政府といたしましては、両国の伝統的友好関係にかんがみ、また、今後の日蘭協力関係を一そう強固にするため、このような苦痛を受けたオランダ国民に対する見舞金の支払いによって本件問題を円満に解決することとし、昭和二十八年十一月以来オランダ政府との間で具体的な交渉を行なってきたのであります。しかるところ、本年一月に至って、一千万ドル相当ポンドの見舞金を五年間に分割して支払うとの条件をもって本件問題を解決することに、両国政府当局の意見が一致いたしましたので、さらに右解決条件を規定すべき議定書の案文について先方と折衝を行いました結果、今般妥結を見るに至りました。よって去る三月十三日東京において重光外務大臣とロイヒリン・オランダ大使との間でこの議定書の署名を了した次第であります。
 この議定書の全文を未だに確認できないのだが、留保条件付なら致し方ないことだろう。ちなみにオランダ以外の国とはこのようなことは無いようだ。
衆 - 外務委員会 - 26号 昭和31年03月31日
○下田政府委員 幸いにしまして、こういう特殊の関係のある国はオランダだけでございまして、ほかに桑港会議の際に、吉田全権から自発的の措置をとるというようなことは、どこの国に対しても申しておりません。従いまして、先ほど御指摘になりました十四条(b)項が、全般的にどの国に対しても有効であるので、その心配はないと思います。

 と言うことで一安心なのだが、こんな主張がある。
 
国際違法行為の直接の被害者が個人である場合、国際請求は、原則として国家自身の権利侵害と構成されて当該個人の本国によって行われる。在外自国民の外交的保護権は、あくまで国家の権利であって自国民に対する義務ではない。しかしここで注意されるべきは、国家が請求権を放棄する場合、一般的には国家の権利としての外交的保護権であって、国内的な個人の請求権まで消滅させるものではない。
「日韓の相互理解と戦後補償」日本評論社 五十嵐正博 179p
 文章が難しいので解説は出来ないが、「従軍慰安婦」が日本に損害賠償請求権を行使できる根拠の主たるものとなっている。
 これと似たような事情がオランダにあることが説明されている。
衆 - 外務委員会 - 26号 昭和31年03月31日
この吉田・スティッケル書簡はまさに御指摘のように、オランダ側としては、第一には憲法上の法律問題として、第二にはここにも書いてありますように、良心または政策の問題として、二つの角度から取り上げてきたわけでございます。それでオランダが平和条約に参加いたしますと、十四条(b)項の規定から、オランダ政府としては日本政府に要求できなくなるわけでございます。しかし法律問題としましてはオランダ政府としては国民の請求権までも放棄せしめることはできないのであります。従ってオランダの国民が日本の裁判所に訴えて出るかもしれない。その日本の裁判所に訴えて出ることをオランダ政府はサポートは決してしないけれども、個人が勝手に日本の裁判所に訴えて出る自由まで奪うことはできない、またその場合にオランダ政府としては決してその個人を支持して日本政府に迫るわけではないけれども、一応法律問題としてオランダ国民が日本の裁判所に訴え出る権利を放棄し得ないのだという点を提起した、それが第一の角度であります。
オランダの国内法の問題であったわけだ。そして条約は批准され、解決済みとなっている。

しかしながら、このような表記ではない条約も存在する。一つが対中国だ。
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
五中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
中国政府の賠償放棄だけが表記されている。個人賠償は残っていると主張する根拠かもしれない。
また対韓国では
日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)
1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
ここでは日本国との平和条約の十四条(b)項ではなく、第四条(a)について言及されている。
第四条【財産】
(a)  この条の(b)の規定を留保して、日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行つている当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、日本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。第二条に掲げる地域にある連合国又はその国民の財産は、まだ返還されていない限り、施政を行つている当局が現状で返還しなければならない。(国民という語は、この条約で用いるときはいつでも、法人を含む。)

これは財産の請求権であり、十四条(b)項で言う戦争犯罪とは違うと言うことなのだろう。

韓国に対する個人賠償権の有無について国会でも数多く議論されているようだ。その議論をまだ読んではいないが、日本政府の見解
(a)韓国 1965年の日韓請求権・経済協力協定により、財産・請求権問題が解決されたことを確認するとともに5億ドルの経済協力(無償3億ドル、有償2億ドル)を実施した。
となっている。

 この問題は法律論としても、政治問題としてもくすぶり続けている。個人補償問題が総て未解決だとしたら、今後の補償額は巨大となり、それは税金での支払いとなる。税金を負担している国民としては関心を持たざるを得ない。
 あの戦争でかけた迷惑はきちんと清算しなければいけないことに、反論する気はさらさら無いが、巨額の経済援助などを行ってきたのに際限なく費用が必要になるのは納得がいかない。
 損害賠償の前提には日本が中国、朝鮮半島に残してきた巨額の財産放棄が前提に有る。それに経済援助を上乗せしていて、まだ補償が必要なのだろうか。

 日本の政府は他の国に対するものと違う表現の条約を結び、問題を残している。国民に付けを回す前に自らの責任で問題を解決するべきではないだろうか。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
戦争責任をあいまいにしてきたことがここでも問題となっているのかな、という気がしました。損害賠償と経済援助とを混同されるのは困りますが、過去の清算が適切だったのかを検証することも必要だと思います。身を切るくらいつらい作業になると思いますが。的外れだったでしょうか?
迷える羊
2007/03/28 00:46
迷える羊 さん
仰るとおりです。損害賠償と経済援助とを混同してきたのは日本です。その付けが回ってきているのでしょう。
飯大蔵
2007/03/28 22:54

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